発達障害論文紹介ブログ

発達障害に関する論文を読んだ内容や感想、直訳を書いてます。

自閉症にADHDが重複しているかどうかの鑑別は重要

40名のADHD、21名のADHDASDの重複、19名のASD、40名のTDの反応時間、ワーキングメモリ、個人内変動のデータを取って比較しました。TDを除くIQ70以上で重度は除外。テストはn-back test(208試行、ターゲット表示52回、つまり25%正答表示)stop signal test(400試行、stop表示100回でこれも25%正答表示)time reproduction test(15試行)を行い、①個人内変動はADHD<ADHDASDで上昇しASDでは上昇しない。②ASDはどのテストでも問題数や多動性、理解しているがエラーするみたいなのは一貫している。③ADHDADHDASDASD、TDともワーキングメモリと抑制性処理に関する機能は保たれているが、一時的な処理でADHDADHDASDでエラーを生じる。④ADHDASDは両方の要素で最大個人内変動とパフォーマンスは一部しかわからなかった。という結果のようでASDADHDが重複しているか鑑別しましょうって内容でした。そもそもASDのデータのバラつき(複雑とか困難、個人差があるとかで説明されることが多い)って実は分類出来てないからじゃない?その一つがADHDが重複しているかどうかじゃない?みたいな部分がこの研究の始まりのようなので。最後辺りに、ワーキングメモリの負荷増加ではADHDASDは反応の遅延、脱落エラーがそこそこあり注意が逸れるのは頻繁。ADHDは個人内変動が大幅に増加と言われていますが、実際は個々の個人内変動に依存。抑制性処理はASD<ADHDで、ADHDASDはstop signal testの「Go」の後に脱落エラー(stopじゃないんだな〜と思った)。あとADHDASDは認知能力に独特な処理が生じたり反応時間が変動したり、一貫性なくバラついたから④みたいな結論になったのでしょうね。あと引っかかったのはADHD24名とASD16名はメチルフェニデート(中枢神経刺激剤)を服用していてテストの24hは服用せずだったみたいだけど、普段これで落ち着いているなら落ち着かない状態(これが素といえばそうかもしれないけれど)であったのはどうなんだろう?と思いました。

 

https://research.bangor.ac.uk/portal/files/20851189/2018_Examining_the_overlap.pdf?fbclid=IwAR22OCyzb8_Tg6BjiS9Gksv4PKBOCwc48IWPL_orUfIh5LZ6kDdFhHQe3-U